2023年3月21日から4月10日まで梅田芸術劇場と日本青年館ホールでの「Le Rouge et le Noir~赤と黒~」の星組公演が決定しました。
「赤と黒」は1975年より2020年までに5公演が上演されています。フランスの文豪スタンダールの長編小説で脚本は1975年は菊田一夫さんでその後は柴田侑宏さんでした。
ですが、今回は『ロック・ミュージカルの日本初演に、礼真琴を中心とした星組選抜メンバーが挑みます。』と解説にありました。2016年パリで初演したフレンチ・ロックミュージカルの日本初演なのでしょうか?
潤色・演出は谷貴也さんです。2016年は台本:アレクサンドル・ボンスタインでした。
気になったので調べてみました。2020年月組の公演との比較をしていこうと思います。
赤と黒2023宝塚星組のあらすじ
スタンダールの赤と黒は、野心的な青年、ジュリアン・ソレルの目を通して来るべき革命(七月革命)を恐れながら堕落した生活を送っていたが復古王政となり聖職者を目指すという物語です。
私は1954年の「赤と黒」192分を観ました。
この映画ではジュリアンがかなり野心家だが弱いところのある青年という設定でした。
随所にスタンダールの小説のページが紹介され、主人公たちの心情を狂言まわしのごとく随所に起用されていました。
ロマンスの描写時間より神学校や当時の背景に重きを置いている様でした。
もちろん、レナール夫人とのロマンスやマチルドとのロマンスはしっかり描写されていました。
貧しい製材屋の末息子であるジュリアン・ソレルは、才気と美しさを兼ね備えた、立身出世の野心を抱く新時代の青年でした。
初めは崇拝するナポレオンのように軍人としての栄光や出世を目指していましたが、復古王政となりナポレオンの名を出しただけで逮捕される社会になり、聖職者として出世する為に、家の仕事の合間に勉強していました。
七月革命は1830年7月27日~29日に起きた市民革命で、フランスでは栄光の三日間というそうです。ナポレオン没後にフランスを支配していた復古王政の真唯中の物語です。
なので抑圧された社会と復古王政で支配色が強い社会でした。
神を信じて悪いことは信仰が弱いからなどの洗脳が強かったのでしょう。
そんなある日、ジュリアンはその頭脳の明晰さをかわれ、町長・レーナル家の子供たちの家庭教師に雇われます。
レーナル夫人(ルイーズ)に恋されたジュリアンは、最初は夫人との不倫関係を、世に出るための手習いくらいに思っていましたが、やがて真剣に夫人を愛するようになります。
その密会の際の二人のやり取りを小間使いのエリザが聞き、密告してしまい、町の誰もが知るところとなりました。
ジュリアンは神父の薦めにより、神学校に入ることとなります。
そこでジュリアンは、校長のピラール神父に聖職者には向いていないと判断されるものの、たぐい稀な才能を買われ、パリの大貴族、ラ・モール侯爵の秘書に推薦されます。
ラ・モール侯爵家令嬢のマチルドに見下されたジュリアンは、マチルドを征服しようと心に誓います。マチルドもまた取り巻きたちの貴族たちにはないジュリアンの情熱と才能に惹かれるようになり、やがて2人は激しく愛し合うようになりました。
そしてマチルドはジュリアンの子を妊娠し、2人の関係はラ・モール侯爵に知られます。
侯爵は2人の結婚に反対しますが、マチルドが髪を切ってジュリアンに渡し、家出も辞さない覚悟をみせたため、やむなくジュリアンをある貴族のご落胤ということにし、陸軍騎兵中尉にとりたてた上で、レーナル夫人のところにジュリアンの身元照会を要求する手紙を送りました。
しかし、ジュリアンとの不倫の関係を反省し、贖罪の日々を送っていたレーナル夫人は、聴罪司祭に言われるまま「ジュリアン・ソレルは良家の妻や娘を誘惑しては出世の踏み台にしている」と書いて送り返してきたため、侯爵は激怒し、ジュリアンとマチルドの結婚を取り消します。
聴罪司祭とは、罪の告白を聞き許しを与える神と人間の仲介者のことです。
ローマ・カトリック教会では聴罪司祭の指導のもとに償いを課す事が認められていたそうです。
後の教会の懺悔室の様な感じですね。
レーナル夫人の裏切りに怒ったジュリアンは故郷に戻り、彼女を射殺しようとするが、傷を負わせただけで失敗し、捕らえられ、裁判で死刑を宣告されます。
マチルドはジュリアンを救うため奔走するものの、レーナル夫人の手紙が本心からのものでなく、いまだに夫人が自分を愛していることを知ったジュリアンは、死刑を運命として受け入れます。
2020年月組のあらすじ
宝塚阪急に展示してあったこの赤と黒デュエダンのたまさくの写真好きだった
たまさくスタイルめっちゃ良……売ってください pic.twitter.com/uw1pNLhCBg— しお (@shoppa99) September 22, 2021
最後の裁判の法廷から始まり回想という形でした。演出は2008年から中村暁さんです。
大筋は変わりませんが、家庭教師先のレナール夫人が先に愛するのではなく、自分の手を払ったレナール夫人をジュリアンが制服しようとします。レナール夫人は元々ジュリアンを快く思っていたので受け入れてしまいます。
そしてレナール夫人は小間使いのエリザから「ジュリアンと結婚したいので協力して欲しい」と頼まれますが、自分が恋に落ちてしまい、その様子を見たエリザがレナールのライバルのヴァルノに密告します。
レナール家から追放されたジュリアンは神学校に入学しますが退学し、ラモール候の秘書として雇われます。
重くて暗くなる神学校の表現が御園座の狭さを逆手に取り、客席全体を使いダンスで表現されていました。
ここは凄いです。
客席の通路を月城さん達が通るんですよ!
配信じゃなく観たかったなあ舞台を…
この演出は難しい神学校の重い雰囲気を上手く表していると思いました。
ラモール候の令嬢マチルドと恋に落ち、マチルドは妊娠し、マチルドが家出する勢いなので、やむなく結婚を認めます。そのためにジュリアンの地位を確保しなくてはなりません。
さる貴族のご落胤にする為、レナール夫人に推薦状を頼むのですが、届いたのは『女を手に入れ、財産を狙う男』と書かれた報告書でした。
せっかくマチルドとの結婚を決意し父親にもなれる未来を壊されてしまったジュリアンは憎しみに燃えレナール家が通う教会で夫人を銃撃し、軍隊に捕らえられ連行されていくところにレナール一家が車で現れます。
レナール夫人がジュリアンを愛する心はまだあることを表現していて分かりやすかったです。
レナール夫人はジュリアンを引き留めようとしますがレナール氏が子供たちに「お母さんはお前たちを捨てていく」と脅し立ち去ります。
最後はレナール夫人が今でも愛してくれていた喜びを胸に運命を受け入れたジュリアンが死刑になる扉が開くシーンで幕が下ります。
映画は死刑執行への扉が開き死刑になるのだな…で終わりましたが、月組の公演ではレナール夫人とマチルドと3人が並びジュリアンが死刑になるシーンで終わりました。
物凄く重いラストではありませんので、宝塚ロマンスの愛を貫いたジュリアンの姿が浮き彫りにされた感じです。
2020年月組の配信が観られます。ジュリアンは珠城りょうさん、レナール夫人は美園さくらさんです。
赤と黒2023宝塚星組と2020年月組のキャストとの比較(再追記有)
赤いラインマーカーの役は2016年パリのフレンチロックミュージカルに記載されていた役柄です。
2016年のフレンチロックのままだと司教や司祭や神学校にポイントが置かれて、出演者が少なくなってしまうので2020年月組に寄せて曲を2016年パリのフレンチロックに変えるのではないかと予測します。
レナール夫人はトップ娘役が演じますが、舞空さんは「バレンシアの熱い花」に出演なので2番手であろう、小桜ほのかさんか有沙瞳さんが候補ですが、ここは次期トップ娘になって欲しい小桜ほのかさんにやって貰いたいです。
となると、マチルドは有沙瞳さんでしょう。
ジュリアンの友人のフーケはもちろん、瀬央ゆりあさんでしょう。振り分けられませんでした。
ヴァルノ氏は天飛華音さんに、レナール氏は天華えまさんか碧海さりおさんが候補ですが天華えまさんに。二人とも振り分け無しです。
小間使いのエリザは詩ちづるさんか瑠璃花夏さんが候補で、2020年月組公演ではエリザが結構アクセントになる裁判シーンとかあるので、ここは詩ちづるさんに期待して。
再々追記)ジェロニモという役が今回追加になっています。どのような関わりになるのでしょう?
ワクワクしますね。←2016年のフレンチロックミュージカルには名前がありました。見落としていました。
赤字は役の追加です。2016年にパリの宮殿で公演したフレンチロックミュージカルの楽曲を紹介します。
この楽曲を使う場合は、ジュリアン礼真琴のソロが3曲で、ジェロニモ暁千星のソロが2曲、レナール夫人有沙瞳、マチルド詩ちづる、ラモール候英真なおきのソロが1曲づつあります。
更にヒロインのレナール夫人は他に4曲歌うので、有沙瞳さんはエトワールに抜擢され歌が上手なので適任ですね。
もう一人のヒロインのマチルドも単独ソロ以外に2曲ありますね。
歌が上手なスターが多い星組に最適な公演ですね。楽しみです。
ひざまずく栄光 | ジュリアン |
愛の呪いの言葉 | ジュリアン・レナール夫人・マチルド・エリザ |
彼の心に耳を傾ける | ジェロニモ・ラモール候 |
暗闇の中で私は赤く見える | ジュリアン |
ディンドン | エリザ・レナール夫人 |
なんてつまらない | マチルド |
ブルジョワであることは良いことです | ジェロニモ |
すべてが失われる | ヴァレノ夫人・ヴァレノ氏 |
彼らがいなければ | ジュリアン |
十分だっただろう | ジュリアン・レナール夫人・マチルド |
彼らが私たちを愛するために | ジェロニモ |
バラを避ける | ジュリアン・レナール夫人 |
これらの失われた悲しみ | ラモール候 |
残念ながらお別れです | レナール夫人 |
2020年月組 | 2023年星組 | |
ジュリアン | 珠城りょう | 礼真琴 |
レナール夫人 | 美園さくら | |
ジェロニモ | 暁千星 | |
マチルド | 天紫珠季 | |
フーケ | 月城かなと | |
コラゾフ公爵 | 月城かなと | なし |
レナール氏 | 輝月ゆうま | |
ノルベール伯 | 夢奈瑠音 | なし |
ピラール校長 | 夏美よう | |
シェラン司祭 | 颯希有翔 | |
ヴァルノ氏 | 千海華蘭 | |
ヴァルノ夫人 | 小桜 ほのか | |
ナピエ大司教 | 周旺真広 | なし |
フリレール副司教 | 蒼真せれん | なし |
ヴァランタン夫人 | 香咲蘭 | なし |
ベルジュ夫人 | 桃歌雪 | なし |
サンクレール夫人 | 夏月都 | なし |
デルヴィール夫人 | 晴音アキ | なし |
オンブル男(執事) | 朱紫令真 | |
ルージュ | 希沙薫 | |
ノワール | 碧海さりお | |
オンブル男(裁判官) | 夕陽 真輝 | |
門番 | 瑠皇りあ | なし |
ラパン | 空城ゆう | なし |
クロワズノワ侯爵 | 蓮つかさ | |
ラ・ジュマート男爵 | 礼華はる | なし |
フェルバック元帥夫人 | 結愛かれん | 白妙 なつ |
看守 | 甲海夏帆 | なし |
マリアンヌ | 羽音みか | なし |
サンジャン | 大楠てら | なし |
アドルフ | 夏風季々 | なし |
スタニスラス | 白河りり | なし |
ミリアム | 美海そら | なし |
エリザ | きよら羽龍 | |
ラモール侯 | 一樹千尋 | |
カスタネード副校長 | なし |
「バレンシアの熱い花」のキャストと二分されるので、赤い枠の役のみの予想をしました。
キャストが公開され次第に追記します。
赤と黒2023宝塚星組はトップ娘役ではないの?
2020年月組はトップコンビが出演し、”赤と黒~”を熱唱しデュエットダンスしていました。
同時期に星組はトップ娘役の舞空瞳さんが「バレンシアの熱い花」のヒロインです。
なので「Le Rouge et le Noir~赤と黒~」は2番手以降の娘役がヒロインをすることになるでしょう。
小桜ほのかさんか有沙瞳さんと考えました。→有沙瞳さんでした。
「バレンシアの熱い花」でも書いていますが、色々調べているうちに礼真琴さんと舞空瞳さんは残念ながら来年8月の次の大劇場で退団されるのではないかと予測します。
そのために次期トップとトップ娘役を星組のプロデューサーが選抜しようとしているのではないかと思います。
全国ツアーでは公演を審査?できないので、「Le Rouge et le Noir~赤と黒~」のDCで審査するためにヒロイン未定にしたままなのではないかあ。これは私の勝手な憶測ですので軽い気持ちでお読みください。
まとめ
「Le Rouge et le Noir~赤と黒~」の星組が2023年3月21日から4月10日まで梅田芸術劇場と日本青年館ホールでの上演が決定しました。
主演は礼真琴さんでヒロインは未定なので主要11名を予測してみました。ヒロインは2番手娘役候補のうち、小桜ほのかさんではと予測しました。キャストが公開されたら追記します。
2020年の月組公演は演出家が中村暁さんで、裁判から回想するという演出をされています。
難しい神学校での様子や、御園座というこじんまりとした銀橋の無い舞台で工夫をされて客席全体を使い素晴らしい演出をされていました。
2023年は潤色・演出は谷貴也さんです。2016年のパリで初演したフレンチ・ロックミュージカルをどの様に演出されるのか楽しみです。この公演が新しい宝塚のロック・ミュージカルとなるでしょうから期待に胸が膨らみます。
強いジュリアンの礼真琴さんを見られるか、野心家でも脆さを前面に出したジュリアンをみられるのか想像するとわくわくドキドキがとまりません。
私としては愛をかわすシーンを何度も観られてキャーキャー言いたいですが。
私は花組と雪組の公演を中心に見ていて最近月組まで到達しました。星組、宙組はまだまだ勉強中ですが頑張ります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
2023年公演バレンシアの熱い花の記事は
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