心中・恋の大和路は7月20日~28日梅田芸術劇場で8月3日~8月9日日本青年館ホールで公演予定でした。
新型感染症の感染者が出て7月26日~28日と8月3日~9日まで中止になり、約8日間の公演となりました。
7月28日の配信も中止になり日本青年館ホールの千秋楽はできるのか?皆さん心配しましたよね?私も感染者の方たちの容態や雪組のモチベーションの低下を心配しました。
ですが劇団の異例の計らいで追加公演が8月10日になりディレイ配信が8月28日にありました。
私も7月28日の配信を申し込んでいたので、もう見られないかとかなりショックを受けましたがディレイ配信が見られて本当に良かったと思いました。
そこでディレイ配信の感想と専科の方々の素晴らしさを書いていこうと思います。
心中恋の大和路 専科の力と和希そら
7月20日初日の公演の様子が日刊新聞やスポーツ報知に掲載され、和希そらさんの演技が高評価されていました。
この作品は人形浄瑠璃の「冥途の飛脚」を宝塚用にアレンジし、2014年雪組のトップスター壮一帆さんとトップ娘役の愛加あゆさんが演じられています。
飛脚問屋亀屋の跡継ぎの忠兵衛(和希そら)が新町の遊女梅川(夢白あや)に入れあげて店の金を使い込み、梅川を身請けし世間から逃れるために忠兵衛の故郷の大和の実父孫右衛門(汝鳥怜)を訪ね、大和路の死への道行きをするあらすじです。
そら忠兵衛は遊女に入れあげてしまった優柔不断な男の心情を上手く表現していました。
特に友人の八右衛門の五十両の使い込みを八右衛門店に責められ何とか許しを請う様子や義母の妙閑に呼ばれて二人で向かう時に八右衛門に笑顔を促しながらも後ろめたさを後ろ姿で表現していてお芝居の上手さに感心しました。
また、新町の座敷で大名家に届ける三百両を自分のお金だからと震える手でばらまく狂喜の表現は大げさではなく自然で素晴らしかったと思います。
身請けされ豪華な着物で遊女に羨ましがられて廓を出ると嬉しそうに話す梅川に切なく寂しい笑顔を向けるそら忠兵衛にダメなやつとわかっていても涙が溢れてしまいました。
梅川をお梅と呼び、籠から二人で降りた時の美しさや、頭巾をお梅にしてあげるそら忠兵衛のいたわる様な眼差しや指先まで美しい仕草にまたまた感動しました。
また「この世にただ一つの~」から始まる歌が悲しくそら忠兵衛は安定の歌の上手さで夢白あや梅川もきれいな高い声でもの悲しさが表現されて美しさが際立っていました。
お芝居の山場の大和路での実父孫右衛門(汝鳥怜)の鼻緒をすげ替える夢白お梅の演技も気負わず自然で心打つものがあり、それを物陰から見つめるそら忠兵衛の駆け寄りたい衝動を抑える演技も素晴らしかったです。
そら忠兵衛の友人の八右衛門(凪七瑠海)はやはり専科は素晴らしいと思いました。声や仕草やお芝居の表現力が明らかに違うと私にもわかりました。
二人を大和路へ逃がすためのそら忠兵衛に「どこへ行っても生きていると便りをくれ」のくだりはこれから死への道行きとなることをわかっていながら伝えるお芝居に心を打たれました。
同様に実父の孫右衛門(汝鳥怜)も話す声色やちょっとした仕草でそら忠兵衛には会えない気持ちや、そこまで入れ込んだ目の前にいる夢白お梅をなじりながらもそら忠兵衛を頼む姿の表現が素晴らしかったです。
そして二人は雪が積もる大和路へ死の道行きをします。二人が支え合いながらふらふらと階段を上る様子や倒れこむお梅を愛おしそうに抱きかかえるそら忠兵衛の姿は美しく悲しい結末なのに心を打たれ、涙が溢れました。
和希そらさん、鼻声だったのが気になりました。
風邪をひかれてのでしょうか?
ですが最後まで全力で演じていただき、ご挨拶も2度されました。
通常1本もののお芝居は一人での挨拶はないそうですが、演出の谷先生が皆さんに存分に顔を見せてこいと言われたそうです。
にくい計らいですね。
和希そらさんもプレッシャーだったが専科の方たちに支えられたことや公演日数が減り悔しい思いをより深い感謝の思いに変えることができたと挨拶されました。
色々な思いもよらないことがあってもそれを楽しむ精神の持ち主のそらさんらしい表現だと思いました。
和希そらさんをもっと知りたい方は
↓
心中恋の大和路 夢白あや感想
遊女梅川の時はそら忠兵衛に心底惚れて一途に尽くす薄幸の美女を上手く表現していたと思います。歌も悲しくも愛一筋の強い思いが感じられました。
特に身請けされ着飾って廓を出る様子を嬉しそうに話すところは悲しい身の上からの脱出を心から望んでいる様子が上手に表現されていました。
二人で籠から出た時の紫の着物(現在の訪問着でしょうか?)が美しく婚姻の衣装の様でした。
特に紫頭巾をそら忠兵衛にかぶせてもらう時の恥じらいの様な夢白お梅が可愛らしかったです。
また、歌は悲しい身の上を物語りそれでも強く生きていく様が表されていたようでとても良かったと思いました。
そら忠兵衛との息もピッタリだったと思います。
心中恋の大和路 諏訪さき感想
亀屋の手代を演じていました。ソロで歌うところも力強く声も良く出ていて良かったです。
かもん太夫(妃華ゆきの)と初めて話せた緊張や嬉しさを上手く表現されていて好演技だっと思います。
主人の使い込みを何とか収めようと八右衛門と協力して走り回る様子や主人を守ろうとする忠実さを上手く表現していて感心しました。
研10になるとここまで芝居も歌も素晴らしいのですね。
蒼穹の昴の譚嗣同の役の演技が楽しみになりました。
心中恋の大和路 千風カレン感想
亀屋の義母の妙閑役。本当に80代くらいのおばあさんの様で台詞の間の取り方や、仕草や意地悪な目つきまで素晴らしい演技でした。
さすが研13です。
どんな役もできる重要な副組長です。なのに蒼穹の昴で退団されるのは残念でしかありません。
舞台後のごあいさつで配信中止のお詫びをされましたが、感染症は今やどこで感染しても不思議はないくらい蔓延しています。
いやいや!雪組も被害を被っているでしょう。と言いたいです。約14日の公演日数が半分になってしまい意気消沈しているでしょう。精一杯演じていただけたことは本当にありがたいと思いましたよ。
千風カレンさんは第二の人生を謳歌し、良い人生を送っていただきたいです。
できることなら役者の道を選んでもらえれば、再び私達も目にすることができるのですが。
まとめ
8年ぶりの雪組「心中・恋の大和路」は公演予定日数が約半分になりましたが、無事千秋楽を迎えディレイ配信されました。
8年前はトップスターとトップ娘役が演じていますのでかなりのプレッシャーを抱えてお稽古されていたと考えられます。ですが、3番手の和希そらさんの気負わない自然なお芝居や夢白あやさんのもの悲しい梅川は素晴らしかったと思いました。大したものです。
この作品をかなり上級に仕上げたのは専科の方たちの芝居の上手さやバックアップだったと思います。
和物の雪組と言われてきましたが本当にその通りでした。
ただ3番手の和希そらさんもヒロインの夢白あやさんも宙組出身でここまで仕上げられたことはご本人の精進の賜物だと思います。
夢介千両みやげとは違い、久々に素晴らしい日本物のお芝居を観られた気がしました。これが宝塚なのか!恐るべし。
全般にソロの歌は皆さんとても歌唱力があり素晴らしかったです。遊女の多分103期の莉奈くるみさんだと思いますがソロの歌も素晴らしかったです。
これは是非DVD化して欲しいです。
ブルーレイ決定しておりました。失礼しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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