10月9日は月組「グレート・ギャツビー」の千秋楽でした。
月組トップスターの月城かなとさんのギャツビーの余韻を味わいながらトップ娘役の海乃美月さんや鳳月杏さん、風間柚乃さんを役ごとにまとめてみました。
また、この公演で退団者が3名ありましたので千秋楽の感想と共に書いていこうと思います。
グレート・ギャツビー宝塚の月組千秋楽の配信 月城かなと
月組の新公の配信でも書きましたが、映画で主演がデカプリオの「華麗なるギャツビー」が強烈に印象に残っています。
それはあまりにも一人の女性を愛し人生を駆け抜けた男の姿と、男の歴史の謎が多く、マットーな人生を歩んではいないのに何故か憎めない…嫌味の無い青年のディカプリオだからかな?と思っていました。
映画ではナイフで刺されてプールに浮かび誰も葬儀に来ないエンディングだったと思いました。
宝塚の月城かなとさんは大人で色気のあるギャツビーを演じました。
湖畔に立ち入り江を見つめる背中がとても素敵です。背中で魅せる…演じるとはこういうことなのかと納得。(新公の彩海せらさんも素敵でしたよ)
初めてニックと会いトムの友人でデイジーのまた従兄だと聞いた時の月城ギャツビーの目がキラキラ輝き視線の送り方に愛する人を思い浮かべていることが伝わりました。
流石!トップスター!表情でも伝わる凄さです。
また1917年の回想シーンでの若々しい軍服姿のりりしく美しい事ったら…素敵すぎ!歌も若さ溢れる愛に溺れる若者の様子や表現が伝わってきました。
特にフランスへ発つ前の切ない”デイジー”は思いが歌に込められていて辛さが伝わりました。(涙)
数年後のアイスキャッスルの”アウトローブルース”は圧巻でした。ブルースって夜の匂いとタバコの煙とアルコールをイメージするまさにこういう曲なんですよ~これこれ!
再び出会えたデイジーとの愛に燃え、”ぼくと君の間にあるものは~小さな入り江が一つ~”と歌う月城ギャツビーはずっと夢見ていたデイジーと愛しあえた喜びを力強く歌い上げます。ロマンティック!
月城ギャツビーは目がキラキラして心からの喜びを表現します。私に向けられた気持ちにさせられ、うっとりしました。
そしてデイジーが運転する車にマートルが飛び込んできてひいてしまい、デイジーには自分が運転していたと言い含めます。
入り江を見つめる月城ギャツビーにマートルの夫のジョージが『黄色の車の持ち主は君か?トムに聞いた』と話しかけます。月城ギャツビーは『聞いたのはそれだけか?違うんだよ』と言い訳をしようとしますが聞き入れず、射殺されジョージも自殺しました。
愛するデイジーには子供がいて罪人にはできないと罪をかぶり、この時点では警察のコネを使い逃れようと思うのでしょう。
最後には思いつめたジョージにマートルとトムの関係を話すつもりだったのでしょうか。
黄色の車は君のか?と問われ、『そうだ』と答えた後、他には聞いていないのか?と月城ギャツビーは聞きました。
これはマートルを愛するジョージの姿に本当のことを言わない方が良いと判断したのでしょうか?
それとも卑怯なやつだなトム…と思い、マートルが飛び込んだ理由を今まさに話そうと思った矢先に殺されたのでしょうか?
射殺され、息が絶える寸前に『デイジー』と口が動くのがぐっと胸にきました。こんなにも深くデイジーを愛していたのだと。
月城ギャツビーは危ない麻薬組織とのつながりもあり、のし上がりますがデイジーに対する気持ちは一人の男としての純粋な愛情でした。とにかく視線の動かし方や表情から気持ちが強く伝わります。
グレート・ギャツビー宝塚の月組千秋楽の配信 海乃美月
ニックがブキャナン邸を訪れ、デイジーと再開し子供を抱いて『きれいなおバカさん』がいいの。自分がきれいと信じている方が幸せともの悲しそうに語ります。海乃デイジーは妻で母でした。
1917年にさかのぼって軍隊に所属していたギャツビーと愛し合った若い娘の時はかなり高い声で話し、歌声も力強く若さを強調していました。演技力や表現力は素晴らしいです。あんなに高い声で話して、その高さで歌も歌っていました!高音は裏声でしたが声量もあり、さすが研12の実力ですね。
”女の子はバカの方が幸せ~”と娘の声で歌いました。母のデイジーとは声の出し方や歌声にもこんなに変化をつけていたんですね!本当に素晴らしい実力です。
ギャツビーと再開し愛が再燃して”私とあなたの間にあるものは~小さな入り江が~”と歌いギャツビーとデュエットするときの声量の調整が凄すぎです。月城さんの声を響かせるためにかなり抑えたり、高音を響かせて月城さんの声と聴いていて気持ちの良いハーモニーを作っています。
歌が上手い人が出来るテクニックですね。
ギャツビーの埋葬に白い薔薇を投げ込むときに何を考えたのでしょう?自分をかばって死んでいったギャツビーに許しを得たいと思ったのでしょうか?それとも、心から愛したギャツビーが先に逝ってしまい、これからの人生は子どもの為だけに捧げる決意をしたのでしょうか?
車に戻る足取りや動作にトムと仮面の夫婦のまま貴族の対面を保つ人生を生きていくことを選んだ自分を許せないでいるデイジー自身の心までが現れているようで悲しくなりました。
ショーでは赤いドレスのスタイルの良い海乃美月さんが素敵で月城さんとの並びもキレイでデュエットダンスは海乃さんの体の動きがトップダンサーの様でしなやかさがあり軽やかで一つ一つのポーズが本当にキレイでした。ダンスのセンスが抜群です。月組のタンゴやスパニッシュダンスは本当に皆さん洗練されていて美しいです。娘役のドレスさばきや足の運びが物凄くキレイです。
海乃美月さんはその中でも際立って美しいステップを何とも軽やかに踏みます。ダンスが上手な証拠ですね。
銀橋で月城さんとデュエットダンスをし、背中を反らす動作が、素敵です。コアがしっかりしているので安定の美しさですね。あの狭い銀橋でそのポーズが取れるのはやはり抜群のダンスセンスとしなやかさですね。うっとりします。
海乃さんはメイクや髪型で老けて見えてしまうので素顔に近い方が可愛らしいのですが、舞台メイクは必要なのでしょうね。なんか損をしていると思うのは私だけでしょうか。
グレート・ギャツビー宝塚の月組千秋楽の配信 鳳月杏
実に熱演でした。”アメリカの貴族”を歌うのに小池先生から貴族のプライドと自分がアメリカで一番だと聞こえて欲しいというアドバイスとおり、お金持ちの傲慢さやプライドを感じました。
この時代はバブルがはじけて不動産が高騰し湯水のようにお金が懐に入ってくる時代です。
現在では考えられない大富豪がゴロゴロいましたから。
ニックがブキャナン邸にやってきた時にデイジーが話すと、面倒くさそうな目つきをする鳳月トム。
わかりやすい!ジョージのガソリンスタンドで人妻であり自分の愛人のマートルを自分の感情でキスをしたり、平手打ちをしたりとやりたい放題でした。
ギャツビー邸のパーティーでデイジーと踊るギャツビーに嫉妬し、ゴルフ対決を迫ります。この時の憎たらしい台詞!鳳月さん演技うまいです。こういう男いる!いる!と思い腹がたちました。
ゴルフ対決に負けギャラリーの前でギャツビーの過去を憎々しげに披露するとき、水をかけるか、塩をまいてやろうかと思うほどでした。
顎を上げ気味で話す顔つきとか、人を小馬鹿にした表情がトムの雰囲気をとても分かりやすく表現していました。
嫌な奴をここまで演じられるのはさすがです。
それだけ本当に演技が上手いです。流石2番手スターです。
黄色の車がマートルをひいた事故に関してギャツビーの車だと分かっていたので、マートルが飛び込んできた事実より、ギャツビーの車を強調しました。これって自分のW不倫を隠蔽しようとしています。
こういうやつなんですねトムは保身ばかり考え、うまく立ち回るお金持ちなんですよ!本当に腹がたちます。
そしてデイジーが運転していた事実を知っても自首をとめ知らんぷりしろと言います。
このバブルはじける時代のお金持ちってこれだから許せないんですよね。(誠実な人ももちろんいましたが)
鳳月杏さんの詳細記事は
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グレート・ギャツビー宝塚の月組千秋楽の配信 風間柚乃
小池先生から、舞台とお客様とのかけはしになるようアドバイスされたそうです。
ギャツビー邸の隣に引っ越してきて、風間ニックはどんどんギャツビーに惹かれていきます。心優しく思いやりのある青年でギャツビーが愛するデイジーのまた従兄です。
ギャツビーに頼まれデイジーを連れ出し再会させ、気をきかせてその場を立ち去ろうとする心優しい男です。それを見透かすようにギャツビーはニックも邸へ誘います。
ゴルフコンペの為にジョーダンにゴルフを教えて貰いながら惹かれていきます。元プロゴルファーの父を持つ風間柚乃さんはゴルフが上手いそうですが、下手に演技をしなくてはいけません。
ゴルフが上手いから下手な芝居ができるのだとカフェブレイクの中井さんに言われていました。
マートルが車にひかれて、黄色の車からギャツビーだと分かりギャツビーの身を心配し、運転はデイジーがしていたことを知ります。
勘の良い男ですね~周りをよく見ているのですね。その演技がとても自然でした。風間さん演技力がどんどん上手くなります。
風間ニックは月城ギャツビーが射殺され、葬儀に身よりや友人を呼ぼうと電話をかけまくります。しかし友人と思っていた人は誰も出席しません。途方に暮れ一人で葬儀を済ませようとするところにギャツビーの父がギャツビーの子供の頃の日記を持って現れます。
この日記の披露と少年ギャツビーや各時代のギャツビーが現れ、最後に月城ギャツビーが”朝日の昇る前に”を歌い幕がおります。
あんなに華やかなパーティを開いたり豪邸に住んでいても友人と呼べる人は居らず、結局ニックと父親のみが見送るというさみしい人生でした。ニックは本当に心優しく私達観客を最後まで引っ張ってくれたかけはしでした。
風間柚乃さんの記事書いてます
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グレート・ギャツビー宝塚の月組千秋楽の配信と退団者
この退団で101期の佳乃百合香さん、95期の晴音アキさん、88期で副組長の夏月都さんが退団されます。
101期の佳乃百合香は研8ですがお声がすっごく可愛らしくどちらかというとアニメの声優さん向きの声の持ち主ですね。最後のあいさつで『自分は不器用でドジだけど、いつも手を差し伸べてくれて前に進む力を貰えた。愛と優しさに包まれた幸せな8年間を歩み続けた。愛をこめてありがとう』と話されました。
95期の晴音アキさんはエトワールに何度も抜擢されていつも脇を固める役で安定のある演技でした。
今回の公演ではアンナ役ジークフェルド・フォリーズの歌手でした。素晴らしい歌声でしたよ。
最後の挨拶では『切ない秋の香りに包まれて卒業します。14年があっという間で楽しかった。下級生・上級生・同期・未熟な私を導いてくれた先生・スタッフ・オーケストラ・広い世界の中から私をみつけてくれた皆様、沢山の愛を頂戴しました。永遠に愛される宝塚でありますように』と話されましたね。
88期で副組長の夏月都さんはデイジーの乳母役を演じました。夏月さんもエトワールに抜擢されました。
最後のご挨拶では『宝塚の男役にあこがれていたが身長が足りず娘役に、10年は舞台に立ちたいと思っていましたが21年も経ちました。副組長にも選ばれ、想定外にこの場所が愛おしい場所で、未熟さも誇りも振り返るとこの場所に繋がっていると確信しました。ここが次へ繋がる道だと信じることができます。手を離さず導いてくれた皆様に感謝します。21年本当にありがとうございました。』と話され晴れ晴れとしたお顔をされていました。
ほんとうにお疲れ様でした。第二の人生が素晴らしいものになりますようにお祈りします。
月城かなとさんの舞台挨拶
大劇場で休止期間があり、東京公演が心配でしたが最後まで走り抜けられて良かったです。
これから二つの公演に分かれますが、この公演で学んだことを胸に頑張ってまいります。
宝塚フォーエバーを歌い1回目の幕が閉じました。
2回目は、初日は中秋の名月、明日は満月、お月様に見守られて公演が出来たことは幸せとあいさつ。
3回目は退団者3名と月城さんで佳乃さんは『幸せです』と涙声に、夏月さんは『宝塚フォーエバーが大好き…宝塚が永遠に続けばと思い、一員となれたことが誇らしい』と語り、晴音さんは『幸せです』と話しました。
4回目は月城さんが『東京で全公演ができてよかった。明日はもっと早く走ろう、両腕をもっとのばして、退団者には今後の人生をがんばってほしい』と話しました。
5回目は『月組の大ジャンプをします。』退団者3名や皆に『準備運動いいですか』とか言いながら退団者3名に促しますが、真意が伝わらず『何を?』と聞き返される場面も(笑)月城さん笑いながら『掛け声を月組万歳と』と言い組全員で月組バンザイと言ってジャンプしました。楽しく締めくくりましたね。
これで終わりかと思いきや、袖から月城さんがお一人でごあいさつを!『こんなに役と離れがたいのは初めてです。大劇場で出来なかった分、東京公演で完走出来たことが力になりました。あたたかい応援をありがとう』
フィナーレのパレード
フィレーレの歌唱指導は2番手スターの鳳月杏さん、アイスブルーのキラキラした衣装でガラリと雰囲気が変わり銀橋をソロの素晴らしい歌唱力で魅せます。流石鳳月さんですね。
歌唱指導って何?
1本ものの公演でフィナーレの最初にせり上がって銀橋で歌う方のことです。
大階段で白に大胆な黒ラインが入ったジャケットの月城さんと同じ白のロングドレスの娘たちの優雅なダンスから群舞へ、ジャケットを肩にかけ男役が大階段を降りてきます。圧巻!これぞ宝塚ですね。
全身黒のダンディーな力強い群舞で踊りながら次々と白いジャケットを着ていきます。着方もかっこいいです。
トップコンビのデュエットダンスです。赤のスーツとロングドレスで美しいしなやかなダンスでした。
そしてパレードが始まります。
エトワールは一乃凛さん、ゴールドのドレスがゴージャスで、もちろん歌は素晴らしかったです。
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彩海せらさん(ルデイ役ジークフェルド・フォリーズの歌手)・夢奈瑠音さん(ラウル役ギャツビー邸の運転手)・蓮つかささん(スレイグル)の3人おりです。
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天紫珠李さん(マートル)・礼華はるさん(ビロクシー役ギャツビー邸の執事)・彩みちるさん(ジョーダン)の3人です。
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風間柚乃さん
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鳳月杏さん2番手羽根
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海乃美月さん
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月城かなとさん
でしたね。
彩海せらさんは新公主演をしています。本公演でも歌手の役で歌唱力は申し分なくセンターで目立っていました。オーラも有、素敵な男役でした。
ジョーダンの彩みちるさん、やっぱり演技力も風間ニックとの歌も素晴らしかったです。
マートルの天紫珠李さん、さすが二番手?の娘役ですね。トムにゾッコンな演技とジョージにイラつくが上手く丸め込むような演技力が素晴らしかったです。
礼華はるさんは新公主演2回の経験者で、研8です。長身でスレンダーで執事役がピッタリでした。裏社会のマイヤーたちとの群舞はカッコいい男のダンスで私は好きでした。
夢奈瑠音さんは新公主演経験者です。研13でやっぱり演技力が素晴らしいですね。
蓮つかささん研12で新公主演1回の経験者です。
脇を固める役はやはり研8以上の芝居が上手な男役ですね。安心して観られます。
まとめ
「グレート・ギャツビー」千秋楽の配信の感想をまとめました。
月城ギャツビーが一途に愛した、人妻で子供がいる海乃デイジーへの愛の在り方や、毎日開いていた華やかなパーティはただただ、海乃デイジーが訪れる為だけに開かれていたという真実がわかりました。
また幸せな結婚をしていたはずの海乃デイジーが夫トムから愛されていなかったり、鳳月トムに彩マートルという愛人がいたことでアメリカの傲慢な貴族の生活が赤裸々に明かされました。
人柄の良い風間ニックの登場で月城ギャツビーの一途な思いが際立ち、月城ギャツビーを尊敬し力を貸そうとする姿にお金持ちでも善良な人がいることでほっとしました。
愛しい海乃デイジーの罪をかぶって射殺されてしまった月城ギャツビーは海乃デイジーを守り抜いた情熱と深い愛情のまま旅立ちました。
残された海乃デイジーはずっと罪の重さと最愛の月城ギャツビーを失った悲しみを胸に閉じ込め、パメラを育てていくのですね。いつの日か月城ギャツビーの深い愛情に感謝するときがくるのでしょうか?考えさせられる結末でした。
トップコンビの演技力や歌は素晴らしく、執事の礼華はるさんや傲慢なデイジーの夫の鳳月トムや気弱そうな光月ジョージが物語に彩りをつけていました。
月組の皆さんの演技力は素晴らしいです。月組はお芝居を一人一人が探求されていて私達に努力が伝わってきてベテランの役者の舞台をみているようです。
また、この公演で101期の佳乃百合香さん、95期の晴音アキさん、88期で副組長の夏月都さんが退団されました。ベテランの研14以上が2名と研8が1名でした。残念ですね。
でも退団者の皆さんは晴れ晴れとした表情をされていました。お疲れ様でした。第二の人生が幸せであることをお祈りします。
さて月組はいよいよ「ブラック・ジャック危険な賭け」が11月18日からと「ELPIDIO」が11月21日から始まります。
カッコよすぎるブラックジャックの月城かなとさんとアイリス中尉の海乃さんがどのように演じられるのか?ELPIDIOでのロレンシオを演じる鳳月さんはどんなロレンシオを演じるのか?が楽しみですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ブラック・ジャック危険な賭けの記事は
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