2022年7月~10月月組公演「グレート・ギャツビー」の予定でしたが7月16日(初日)~21日と29日~8月18日は公演が中止なりました。
7月22日が初日になり、無事完走を願いましたがまたも中止が発表されます。結局大劇場では約10日の公演になってしまいました。
東京宝塚劇場は9月10日に初日を迎えられ、新人公演は9月22日の1回のみとなりました。
最近は新人公演が1回になることが多く、配信がみられたことに感謝し感想を書きました。
グレートギャツビー宝塚のあらすじ
宝塚では1991年雪組・1992年雪組・2008年月組と上演されました。
アメリカの作家F・スコット・フィッツジェラルドが1925年4月10日出版の小説が原作です。この作品は現在ではアメリカを代表する作品の一つで英語で書かれた20世紀の最高作品だといわれています。
2013年映画「華麗なるギャッツビー」
私は2013年に「華麗なるギャツビー」主演レオナルド・ディカプリオの映画を見ました。まだ若くてハンサムなディカプリオのキラキラした瞳が印象的でいまだに忘れられません。
映画のストーリーはかつての恋人に数年後に再開し、愛が再燃するが、恋人が車で事故を起こし人をひき殺してしまい身代わりになります。
被害者の夫に主人公の華麗なパーティの最中にギャツビーがプールで射殺されました。
宝塚の「グレート・ギャツビー」
宝塚も小説に基づいて、好景気に揺れる1920年代のアメリカ・ロングアイランドの豪邸ジェイ・ギャツビー主催で毎晩ゴージャスに開かれるパーティからスタートします。
バブル期真っ只中!
不動産の価値がどんどん上がり、所有者はどんどん収益が舞い込みます。
豪邸がどんどん増えて、家を何件も所有する富裕層が毎夜パーティーを開いていました。
そのパーティーには警視総監も顔を見せるが、誰もギャツビーの素性を知らないのです。
隣家にイエール大学を卒業し戦争に従軍し休戦で帰還したニック・キャラウェイが引っ越してきます。
ギャッツビー家の対岸にデイジー・ブキャナンと由緒ある名門貴族の夫トム・ブキャナンと一人娘のパメラが住んでいるが、トムには秘密の愛人がいます。デイジーは満たされない愛に悩んでいます。
トムの愛人は既婚者でW不倫中で、デイジーはかつてのギャツビーの恋人でした。
破局になったのはデイジーの親がギャツビーの身元を調べうその学歴を所属する軍へ知らせると脅され、デイジーに事実を告げない交換条件に連絡を一切経つと約束させられた過去がありました。
5年ぶりに再会し愛が再燃し密会を続けていた中、パーティーでダンスをする二人にデイジーの夫のトムが割って入りギャツビーにゴルフ対決を約束させます。
ゴルフはギャッツビーが勝利し、帰り道でトムは事故を知ることに。
浮気が夫にばれて家に閉じ込められていたマートルが黄色の車に向かって飛び込んできます。それはトムとギャツビーが車を交換したことを見ていたマートルがトムに会いたくて飛び出したのでした。
夫ウイルソンはギャツビーにつかみかかるが黄色の車はデイジーが運転していました。
ギャツビーはデイジーへの愛の為に自分が運転していたことにします。ニックはギャツビーの深い愛に感服します。
マートルの夫のウィルソンが黄色の車の持ち主をギャツビーと突き止め、ギャツビーは銃で殺されます。
華やかなパーティーの主催者のギャツビーの葬儀にはニックとノースダコタから駆け付けたギャツビーの父だけが参列し彼を見送りました。
夜ごとに開かれるパーティーはギャツビーの孤独を埋めるものだったのでしょう。
親友と言える人はニック一人だけでした。
その反動で再開したデイジーを深く愛していったのでしょう。
デイジーを最後までかばい、守り切った満足感はギャツビーだけのもの。
デイジーのその後の人生は果たして幸せだったのか?
と考えさせられる物語です。
生涯の全てをデイジーの愛に捧げたギャツビーは愛しい人を守り切った一人の男だった。
グレートギャツビー宝塚の新公・配信の感想 彩海せら
本役のギャツビーは月城かなとさん、男らしくてカッコいい大人の男性を演じています。一方新人公演では彩海せらさんが負けずにカッコいい憂いのある男性を演じました。
彩海せらさんは声も歌唱力もあり、センターに立った時のオーラもありました。
入り江を見つめてデイジーを思う歌を目の前にデイジーがいるように嬉しそうに愛情あふれる表情で歌いあげました。目力がとっても男らしい!白いスーツもとてもお似合いでした。
デイジーと知り合い愛し合った頃の軍服は素敵でした。
軍服が似合う条件は背の高さとスタイルと面長のイケメンだと私は思っています。
彩海せらさんにはそれが揃っていました。
そしてアイスキャッスル(ギャツビーの店)でのマフィアのマイヤーたちとアウトローブルースを歌う時の水色のスーツ姿も美しく、視線の落とし方が悪ぶった感じが出ていてかっこよかった!ブルースはもっと陶酔感を感じられたらなあ…もっといい感じになると思いました。
デイジーのきよら羽龍さんとのデュエットダンスはとてもキレイでした。
ダンスパーティでのデイジーとのタンゴはちょっと固さを感じてしまいました。
恋しい気持ちと感情の高ぶりの表現は素晴らしかったので、このタンゴは惜しかったかなあ。
劇中で何度も歌われる♪朝日が昇る前に~♪はその場のお芝居から自然に少しづつ表情が違う歌で良かったです。
トムとのゴルフ対決の時の恋敵を見下す冷たい視線が気持ちを表現していて上手いと感じました。
デイジーを思って歌う歌は心からデイジーを愛する気持ちを上手く歌に乗せ、見る私達を二人の愛の世界に引き込みました。
またデイジーと二人でデュエットするシーンも美しく、お互いを大切に思う気持ちが表現されていて、きよら羽龍さんの声量と彩海せらさんの声量のバランスがとてもよくて心地良かったと思いました。
入り江でマートルの夫のジョージに銃で撃たれて倒れる時に、口から出た最後の言葉が”デイジー”だとはっきりわかる唇の動きでした。切ない…この結末(泣)
数十年前に観た映画でも切ない幕切れでしたが、宝塚も切ない…
最後にギャッツビーの墓に白い薔薇を投げるデイジーの人生は痛みと罪を背負ったまま子育てをするのか…とまた更に悲しくなりました。
最後の舞台あいさつで、『沢山の壁があったが上級生がその度に導いてくれた。一人一人が自分と向き合い全員が信念を強く持ち這いつくばって不安な状況下で本日挑戦させていただきました。感謝の気持ちでいっぱいです!』と涙を流していました。
二度目のあいさつでは『感謝の気持ちでいっぱいです』と言葉を詰まらせていました。
1回だけでしたが無事に公演できて本当に良かったです。
グレートギャッツビー宝塚の新公・配信の感想 きよら羽龍
本役のデイジーは海乃美月さん、過去の恋人で1児の母の大人の表現や表情が素晴らしいです。
きよら羽龍さんはエトワールにも抜擢されるほど歌はお上手です。
伸びやかな透明な高音が聴いていて心地よかったです。
子どものパティを見つめながら『女の子はきれいなおバカさん』でいるのが幸せだというセリフが心にしみました。
それはまるでデイジー自身に納得させているかのようでした。
きよら羽龍さんの声が素敵でした。
透き通る様な高音です。
この声好きですねえ。
ずっと聞いていたい声です。
海乃美月さんは少し年上の色香がある人妻という印象を持ったのですが、きよら羽龍さんは初々しい人妻の色香がありました。
私はきよら羽龍さんの方がデイジーのイメージ通りでしたね。
もう昔には戻れないと言いながらもギャツビーの目を見て離れられないデイジーの気持ちが手に取るようにわかり切なくなりました。きよら羽龍さんは声の抑揚で上手く表現されていました。
ギャツビーの墓に白い薔薇を投げます。
デイジーきよら羽龍さんが花を手向けてから車に戻る足取りが重そうで後ろ髪が引かれる様子を表現していて流石研5だと感心しました。
しかも新公ヒロインとバウヒロインの経験者だとこんなにも落ち着いていて余裕があるのだと感心しました。素晴らしい。
グレートギャッツビー宝塚の新公・配信の感想 七城雅
本役のトム・ブキャナンは鳳月杏さん。
ニックが訪ねてきてゴルフスタイルでアメリカの貴族を歌う時は、七城雅さん瞬きが多いのがちょっと気になりました。照明が眩しかったのでしょうか?酒場でマートルとダンスしたりがんばっていましたね。
ギャツビーとのゴルフ対決はちょっとコミカルでしたが良かったと思います。
研6の七城さんはお顔が可愛らしいので、ギャツビーへの嫉妬心が柔らかく出ていたように思えました。
もっとも愛人を何人も作っていたので、そこまでデイジーに思い入れは無い設定でしょうか?
私はギャツビーに敵意バリバリだろうとイメージしたので、先入観からそう思ったのかもしれません。
最初のシーンの歌は緊張していたようにみえましたが、徐々にリラックスされて徐々に良くなっていきましたね。
グレートギャッツビー宝塚の新公・配信の感想 瑠皇りあ
本役はニック・キャラウェイの風間柚乃さん。
新公では研6の瑠皇りあさんが、ほとんど出ずっぱりの役でしたが、台詞もしっかり聞き取れて表現もわかりやすくとても良かったです。
ゴルフコンペに向けてジョーダンにレッスンを受ける瑠皇ニックは、ジョーダンに惹かれていくという様子も上手く表現できていました。
アイスキャッスルでペアでダンスするシーンのジョーダンとの距離感も上手く表現していたと思いました。
自分の家にデイジーを招いてギャツビーに会わせるシーンで気を利かそうとする様子も上手に表現されていました。
また、ギャツビーの葬儀に誰も来ないので電話で知らせたり、身内を探したりしても誰もいない…というやるせない思いもキチンと伝わりました。
好演だったと思います。
まとめ
グレート・ギャツビーも公演が中止になり大劇場で約10日間ほどの公演となり、東京公演は10月9日が千秋楽となります。
中止に伴い、新人公演も1回のみとなってしまいました。
新人公演は今まで予定が合わず中々観られませんでしたが今回観ることができました。
本公演とは違い研7までの下級生が一生懸命お稽古していた成果が表れていて、こんなに見ごたえのある舞台になるのだと感動しました。
雪組で新公初主演から注目していた彩海せらさんが組み替え後の月組で新公主演に決まった時は嬉しかったです。これからもっとお稽古に励み精進されて2番手とか3番手のスターになっていかれるのでしょう。益々目が離せません!
そしてもう一人注目してきたきよら羽龍さんがヒロインに決まったので、二重の喜びでした。きよら羽龍さんは順調に階段を上っていますね。その透き通る高音を響かせて次の11月からの「ELPIDEO」の活躍もお祈りします。
また今回ニックの役の瑠皇りあさんは研6でビジュアルもかっこよくて素敵でした。
やはり研5以降になるとお芝居も歌も間の取り方や見せ方も板についてくるので見ていて感動しますね。沢山お稽古されたり、役の研究などをされるのでしょうね。
その他の下級生も一生懸命頑張っている姿が観られて新人公演は特別な公演でした。
舞台挨拶の彩海せらさんの涙に感動しました。色々ご苦労がありましたものね。皆さんお疲れ様でした。これからも頑張ってくださいね。
応援していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
彩海せらさんのプロフィールやきよら羽龍さんのプロフィールは
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